Kobayashi Lab.

Nagasaki University

長崎大学工学部工学科情報工学コース
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研究理念

公平な情報社会を実現するために

小林透研究室では、IT機器を利用した情報取得・利用に慣れていなくても、不利益が生じない公平な情報社会を実現することを研究理念にしています。具体的には、以下の3つをゴールに設定しています。

人に近づくWebサービス

ユーザがネット上のWebサービスに近づく努力をしなくてもWebサービスの方からユーザに近づく世界の実現。

コミュニケーションを広げる

これまで繋ぐことができなかった人たちを繋げ、コミュニケーション可能となる世界の実現。

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自分のことは自分で

「人に頼ることなく自分のことは自分で」を可能とする世界の実現。

背景

近年、ブロードバンドネットワークの進展やクラウドサービスの拡張に伴いユーザにとって魅力あるWebサービスが増えて来ています。 一方、タブレットPCやスマートフォンなどのユーザフレンドリーな端末の登場により、これまでネット上のWebサービスを利用していなかった人々も 気軽に利用できるようになりユーザ層が広がってきています。しかし、ユーザは、それぞれは異なる趣味嗜好、あるいは価値観を持っているにも 関わらず、ネット上のコンテンツやWebサービスを利用する際の環境はみな同じです。また、高齢化の進展に伴いスマートフォンなどの最新の端末を利用できない人たちが増えています。これでは、せっかくSNSなどの便利なネットワーク サービスが利用できるようになっても、スマートフォンを利用できない高齢者は、若年者とコミュニケーションすることができません。さらに、少子高齢化、人口減により、これまでと同じレベルで行政サービスを受けることは難しくなってきています。可能な限りで自分のことは自分で 行えるような世界の実現が急務です。

研究概要

小林透研究室では、上述した研究理念のもと、解くべき課題を明確にして、IoT技術、人工知能、ビッグデータの各関連技術を活用した具体的な取り組みを行っています。

課題1

ネット上のコンテンツやWebサービスを利用するためにユーザは自ら画一的な操作環境により必要なサービスを探し、利用する能力を身につける必要があります。特に、ネット上の多くのサービスの中からそのユーザが必要なサービスを見つけ出すことは、ユーザの能力に大きく依存しています。つまり、ユーザ間における情報活用能力格差の問題が顕在化しています。

課題1に対する取組 マルチスクリーン型トレンドサーフィンシステム

課題を解決するために、情報のフィルタリング技術とWeb技術に着目し、ユーザの利用に応じて内容が刻々と変化する性質を持つ新しいWebブラウザ(ユーザ適応型Webブラウザ)の実現を目指しています。これをクラウドシステムと連携して実装することにより、すべての人に公平で、人や社会に役立つサービス創造の基盤インフラとすることを狙っています。

マルチスクリーン型トレンドサーフィンシステム

検索急上昇ワードを自動で抽出し、それをタップするだけで、他のスクリーンに関連するコンテンツを表示させることができます。検索キーワードを入力できない人や、検索キーワードを思いつかいない人でも、タブレットコンピュータをタップするだけで、関連する情報を芋づる式に検索、表示させることができます。この動画は、トレンディドラマに関する関連情報を複数のスクリーンに表示させているところです。

課題1に対する取組 ながさきロケなび

当研究室は、3年前から、ロケーションツーリズムにより長崎の観光振興に資する観光情報提供システムの開発を行っています。本システムは、長崎フィルムコミッションとのコラボにより、長崎県内でロケされた映画やドラマのロケ地情報を多言語化して全世界に公開しています。従来の観光情報提供システムは、観光地の紹介といった画一的なものが多く観光客の個々のニーズに沿った情報提供がなされていません。また、情報の更新や多言語化にコストを要したり、観光コンテンツ毎にシステムを構築する必要があったりするなどシステム提供上の問題がありました。そこで、我々は、自己拡張型観光支援プラットフォームを提案する。本プラットフォームは、観光コンテンツをRDF化することにより観光客のニーズに沿った柔軟な情報検索を可能としています。さらに、観光地での観光客のツイートを言語別にリアルタイムに取り込むことで自己拡張を可能とし、少ないコストで他の観光コンテンツに適応させることを可能としました。

「ながさきロケなび」の利用模様

課題2

IT機器を利用できる能力を表すITリテラシは、人により異なります。特に高齢者はそのITリテラシが低下する傾向があります。 そのため、SNSを使いこなしている若年者層が高齢者層と手軽にコミュニケーションすることができません。また、大規模な災害などで、 通信ネットワークが途絶してしまうと緊急を要する人命救助に支障をきたしてしまいます。

課題2に対する取組 ソーシャルメディア仲介ロボット

課題を解決するために、IoT技術を活用した「ソーシャルメディア仲介ロボット」を研究しています。これは、人型ロボットに話かけるだけで、 高齢者がSNSを利用する若年者と双方向のコミュニケーションができるシステムです。これまでの高齢者見守りシステムは、高齢者が自宅で使用する家電の 利用状況を通知するといった、安否確認を目的 としたシステムが主流でしたが、本ロボットは双方向のコミュニケーションに対応することで、高齢者の 積極的な社会参画を促すことを狙ったものです。現在、ソーシャルメディアとしてLINEを利用し、LINEを利用してコミュニケーションができるようになっています。また、その際、LINEの宛先をそのメッセージの内容から推定する機能を人工知能を用いて実装しています。これにより、高齢者は、あたかも人に話しかけるように、ロボットに話かけるだけで、そのメッセージが正しい宛先のLINEに通知されます。

#本研究の一部は、総務省SCOPE(9524)の助成を受けて行っています。

課題2に対する取組 Flying Cloud サーバ

課題を解決するために、IoT技術を活用した「Flying Cloud サーバ」を研究しています。これは、ドローンにシングルボードコンピュータを搭載し、 無線LAN基地局とWebサーバを実装することで、例え大災害直後で携帯電話のネットワークがダウンしても、スマートフォンのWebブラウザで上空からの画像を 共有したり、チャットしたりすることができます。これにより、仮にトランシーバなどの専用装置が無くても、特別のアプリがインストールされていない 個人のスマートフォンを利用して迅速な人命救助が可能です。

課題2に対する取組 Moving Cloud Server

課題を解決するために、IoT技術を活用した「Moving Cloud Server」を研究しています。東日本大震災のような大規模災害が発生すると携帯電話のネットワークが使えなくなるため、クラウドサーバを用いた情報共有ができなくなります。そのため不特定多数の人たちが集まる避難所では、従来物理的な掲示板を使った情報共有が行われていました。しかし、物理的な掲示板の場合、だれでも書き込めるため、古い情報と新しい情報が混在したり、場合によっては間違った情報が掲載されたりする可能性がありました。そこで、開発を進めたのが、Moving Cloud Serverです。このシステムは、避難所のリーダが着用する腕章に電池で駆動するRaspberry Pi を組込み、IoT化することで、クラウドサーバ機能を提供します。

Raspberry Piには、Webサーバ機能と無線LAN機能が搭載されており、避難者が自らのスマホを無線LANでローカルにMoving Cloud Serverに接続することで、携帯電話のネットワークが利用できなくても情報共有が可能になります。つまり、通常はネットワークの先に固定的に設置されているクラウドサーバを、利用者のところにMovingさせることで、ネットワークが使えなくても情報共有を可能にしようというアイディアです。

例えば、A避難所のリーダやサブリーダらが、このMoving Cloud Serverと自らのスマホを使ってチャットを行います。

リーダ:“食パンはある?”

サブリーダ:“倉庫に食パンが100個あります。”

リーダ:“分かりました。共有しておきます。”

すると、リーダは、スマホ上で、このサブリーダのチャットを選択して、“公開”ボタンを押すことで、自動的に避難者全員に公開されている電子掲示版に、時系列に沿って掲示されます。

Moving Cloud Serverの利用シーン
課題3

少子高齢化の進展に伴い、これまでのように社会の様々な問題の解決を行政に頼ることはできません。例えば、車いす利用者のためのバリアフリーマップの作製、 急患を運ぶための救急車の運用、湖沼の環境に悪影響を及ぼすアオコの除去、過労やストレスによる心的障害の予防などです。

課題3に対する取組 バリアフリーストリートビュー

課題を解決するために、IoT技術を活用した「バリアフリーストリートビュー」を研究しています。これは、普段利用している車いすに全方位カメラとスマホを 装着して走行することで、全自動でストリートビューを撮影し、全自動でサーバにデータをアップロードし、全自動でストリートビューに変換して、ブラウザ経由でフィード バックするというものです。段差があった場合は、その位置を記憶するとともに、その写真を撮影し、段差の強弱の情報とともに、フィードバックします。これにより、例えば 朝降った雨の水たまりのストリートビューをその日のうちに見ることが可能となります。この装置を複数の車いす利用者の車いすに装着することで、利用者自らが情報を取得し、 それを必要な人たちにオンデマンドで提供することができます。

「バリアフリーストリートビュー」実演

課題3に対する取組  普通の車を救急車に!!

「地図アプリを活用した市民による緊急車両移動情報共有システム」を開発しています。本システムは、スマホを使って急患を乗せた 一般車両の位置情報をサーバを経由して付近の車に通知することで、一般車両でもあたかも救急車のように、急患を緊急搬送できるという 画期的なシステムです。本システムは、長崎大学工学研究科平成28年度創成プロジェクト最終成果発表会において、金賞を受賞しました。また、富山大学で開催された「第14回学生ものづくり・アイディア展 in 富山」で、特別賞を受賞しました。

一般車両による緊急搬送デモの実演

課題3に対する取組  自律型アオコ対策ロボット!!

国立大学法人長崎大学海洋未来イノベーション機構の山本郁夫教授とエビスマリン株式会社(本社長崎市大黒町9-22)と共同で、水面に滞留するアオコを沈降処理する“自律型アオコ対策ロボット”を開発しました。この“自律型アオコ対策ロボット”は、水面状況監視・アオコ検知・発生場所への移動・沈降処理・エネルギー補給機能を備えた自己完結型を開発コンセプトとし、従来の固定型アオコ処理装置では対処できない浅瀬や吹き溜まり等の処理範囲外の水域にも自ら移動し、アオコを沈降させるというものです。
また、あらゆる機器をインターネットにつなぐ「インターネット・オブ・シングス(IoT)」の技術を活用し、タブレット端末などで手軽に遠隔操作が出来ます。

アオコ対策ロボットの評価実験模様

課題3に対する取組  Tシャツ型ウェアラブルデバイスによる過労やストレスによる心的障害の予防システム

長崎大学医学部第2生理学教室と女性の健康向上に資するウェアラブル医療機器等の開発および機器利用による診療の質向上に関する研究を行っている.本研究では,ゴールドウィンと東レ,NTTが共同開発した最先端素材「HITOE」を用いたTシャツ型ウェアラブルデバイスを働く女性に装着してもらうことで、過労やストレスによる心的障害の予防を目指している。

Tシャツ型ウェアラブルデバイスからの生体情報収集の様子

課題3に対する取組  LINEドアホン

これまでは、外出中に宅配があった場合、帰宅後、残された不在配達票を基に再配達を依頼していました。そのため、ネット通販の拡大に伴う宅配業者の再配達による過重労働が社会問題となっています。一方、受け取る側も、帰宅後に桁数の多い荷物番号により再配達の手配を行う必要があり、荷物の受け取りが遅れたり、手間がかかったりという問題がありました。そこで、開発を進めたのが“LINEドアホン”です。このシステムは、いわゆるドアホンにRaspberry Pi を組込み、IoT化することで、SNSとして広く普及しているLINEに接続します。これにより、荷物受け取り者がどこにいても、携帯しているスマホを通して宅配業者の来訪を知ることができるというものです。例えば、LINEドアホンでは、宅配業者がドアホンの音声指示に従って、荷物のQRコードをドアホンにかざすと、荷物受け取り者のスマホのLINEアプリ上に宅配業者の写真と、QRコードから変換された宅配業者の携帯電話番号、再配達手配サイトのURLが通知されます。さらに、スマホに表示された宅配業者の携帯電話番号をタッチするだけで、直接、宅配業者に電話し、例えば、お隣さんに預けるように指示をすることができます。また、スマホに表示された再配達手配サイトのURLをタッチするだけで、詳細な荷物番号を入力することなく、再配達の手配が可能になります。これまでも、ドアホンをネットに接続することで、外出先からスマホで来訪者を知ることができる製品がありました。しかし、スマホには専用アプリが必要でした。今回、開発したLINEドアホンは、普段利用しているLINEを利用するため、専用アプリが不要です。さらに、QRコードにより、宅配業者の携帯電話番号や再配達手配サイトのURLを通知できることが特徴です。

LINEドアホンの利用シーン

 

Findability

Smart TV System focused on Findability

大画面を持つTVとパーソナルなスマホがつながったら、どんなことができるでしょうか?
スマホで検索した動画像をTVに表示する。
TVで登場したアイテムをスマホで購入する。
ちょっと考えただけでもわくわくするような新しい使い方が思い浮かびます。 小林透研究室では、そんなことを可能とするスマートTVシステムを研究開発しています。
では、実際に開発したスマートTVシステムを見て見ましょう!
このビデオでは、例えば学校で、今はやりのTVドラマの話題についていけなかった場合、そのドラマの名シーンやドラマの主題歌をYouTubeから自動検索して複数のスクリーンに同時に表示することで、短時間に友達との話題についていけるようにしようという例を紹介しています。
ご覧の通り、タブレットPC上をタップするだけで、複数のドラマの名シーンを複数のスクリーンに同時に表示することができます。これなら、インターネットを使い慣れない人でも簡単に情報を取得することができますね。

動画を再生するには、videoタグをサポートしたブラウザが必要です。
では、次にタブレットPCを傾けるだけで、複数の関連動画を複数のスクリーンに次々に表示するデモをご覧いただきます。
このデモでは、良く知らない女優さんやアイドル、”立体スイッチバック”という耳慣れない言葉やカリフラワーという野菜を理解するために複数の動画を同時に表示させた場合を紹介しています。”立体スイッチバック”とは、狭い山間の場所で、列車を前後にスイッチさせることで高度を稼ぐ方法で、ご覧のように、実写の動画の他に、おもちゃの動画もあり、より意味を把握することができます。

動画を再生するには、videoタグをサポートしたブラウザが必要です。
次は、音声だけで情報検索や検索結果を複数のスクリーンに表示するデモご覧いただきます。
このデモでは、良く知らないアイドルを理解するために関連するWebページや複数の動画を同時に表示させる場面を紹介しています。 ご覧の通り、音声だけですべての操作を行うことができます。

動画を再生するには、videoタグをサポートしたブラウザが必要です。
いかがですか。これらはすべて世界最先端のWeb標準技術を活用して実現しています。 そのため、端末には、Webブラウザのみあればよく、特別のアプリケーションをダウンロードする必要がありません。 みなさんの身の回りの端末を、あっという間に様々な情報表示端末として活用することができます。

Members

2004年 信州大・工・情報工学科卒.2006年 同大学大学院工学系研究科博士前期課程修了.2010年 同大学大学院総合工学系研究科博士課程修了.博士(工学).以来,情報セキュリティに関する研究に従事.2011年より東京理科大学理工学部・嘱託助教.2015年より長崎大学大学院工学研究科情報工学コース・助教.
電子情報通信学会,情報処理学会,日本応用数理学会各会員.


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荒井 研一

助教

1985東北大・工・精密機械卒.1987同大大学院工学研究科修士課程了.同年NTT入社.以来,ソフトウェア生産技術,情報セキュリティ、データマイニング、Web技術などの研究開発に従事。1998から2002までドイツ、デュッセルドルフに駐在し欧州研究機関とWeb技術、セキュリティ技術に関する共同研究開発、およびスマートカードに関する標準化活動に従事.2013から長崎大学大学院工学研究科教授、2017年10月から情報担当副学長、IEEE,電子情報通信学会(シニア)、情報処理学会各会員、博士(工学)。
●発表論文(こちらから)
●受賞等(こちらから)


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Author Signature

小林 透

教授
副学長
ICT基盤センター長

D2
木村 福義

D1
浦川 真

社会人ドクター

内田 凜介
鮫島 直洋
中島 良太

大学院2年生

栗山 孔臣
三浦 千里

大学院1年生

世永 亘之
市丸 理士
岸本 友太
西山 季子
鬼丸 禎史
本多 隆裕

学部4年生

お問い合わせ

〒852-8521
長崎市文教町1-14
長崎大学大学院 工学研究科 情報工学コース
工学部1号館4F
研究室:403
小林透教授室:410
Email : toru(*アットマーク)cis.nagasaki-u.ac.jp

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