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コースの教育活動
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長崎大学工学部工学科情報工学コースの教育活動
(自己評価報告書より抜粋)
 「情報」は「物質・エネルギー・情報」という産業の3本柱の一角をなしており,昨今のコンピュータやネットワークの急速な進歩発展にも見られるように, 将来の社会生活や産業全般における情報工学の重要性は論を待たない.そのような社会的,産業的な火急の必要性に応えるべく, 情報工学コースは平成10年度に旧電気情報工学科より独立して発足した工学部情報システム工学科の平成23年度改組により発足した. 本コースは,計算機工学(計算機システムの基礎となるハードウェアおよびソフトウェア技術), 数理・応用ソフトウェア工学(情報科学・情報工学の基盤となる基礎理論,および様々な応用ソフトウェア技術), 情報応用システム学(マルチメディアなど最先端の計算機応用技術)の3大講座から構成されており,それぞれ括弧内の教育研究に取り組んでいる.

 本コースでは基本理念として,情報という新しい学問体系を構成する理論/ハードウェア/ソフトウェア/応用を柱とし, 情報科学・情報工学の各分野をできるだけ偏りなくおさえ,関係するどの方面に進んでも不足のない知識, そして即戦力となるべき能力を身に付けさせることを目指している.さらに,学生の大学院への進学も積極的に推進している. 最大の目標は,社会,特に学界や産業界からの大きな期待に応えるような,さらには学界や産業界を主導していくような人材の育成である. そして対外的には,産業界との積極的な連携,一方で高校生に対して魅力を感じさせるような教育体制の整備と説明会や訪問なども活用したアピール, 留学生の積極的な受け入れなどの国際的活動,以上のような方針も常に念頭に置いている.

 情報科学・情報工学については,人材育成に向けて情報処理学会・IEEE・ACMなど国内外の関係学会, および文部省などで検討された標準的な「コアカリキュラム」が定められている.本コースでも発足準備の早い段階から深く検討を行い, 基本方針として,必修科目でコアカリキュラムをおさえ,選択科目で当コースの独自性を出すようにカリキュラムを編成した. 教育科目は,理論/ハードウェア/ソフトウェア/応用のそれぞれの柱ごとに,基礎から専門へ順次発展するように構成している. 関連する講義と演習は教官も相互交流して合同にも近い形で協力して運営するなど,科目間の有機的な連携に特に配慮している. また,科目間の関連を図式化して明確にし,学生にも示して学習の指針とさせている.各科目担当教官の間では講義内容, 学生の理解度,進捗状況などについて,直接ないし教官メイリングリストなどを介して随時ディスカッションを行い, 学生メイリングリストも設置するなど,関連科目間の情報交換や効果的な教育体制の整備に努めている.全学教育に関しても, 数学は当コース教官が担当しており,全学教育科目が専門科目への入り口として有機的に機能するように配慮している.

 本コースの教官と学生は非常に密な交流を保っている.学生には低年次から各教官室や研究室に自由に出入りさせ, 毎週の教官懇談時間も設けるなど,闊達な雰囲気で密度の濃い教育指導や生活指導を行うだけでなく, 高度で最先端の研究に早い内から触れる機会を設けている.さらに,例えば教材の整備・準備など教育を支援する側にも参加させている. 特に,対外的な講演会や高校生向け説明会などのイベントにも企画・運営や講師など責任ある立場で参加させて,非常に大きな成果をあげており, 外部からも高い評価を得ている.また,教官間の情報交換による欠席がちな学生や進度の遅れがちな学生の早期発見も行っており, コース長や学生委員教官にとどまらず教官全員が一丸となって親身の指導やアドバイスを行うことによって,学生の抱える問題の早期救済に成果をあげている. 新入生に対してはオリエンテーションを実施しており,教官が大学院生・上級生らと引率して,研究開発機関の見学を行うとともに,懇談の場としている. 新入生のアンケート回答からも,最先端の研究の一端をかいま見られたこと,今後の学習姿勢の指針を得られたことなど,有効性を確認している.

 本コースの教育設備は,コースの教育研究内容からいっても,ワークステーション,パーソナルコンピュータ,ネットワークなどの計算機設備が中心となる. これは学生が常時使える体制を整えており,学生の自発的学習に役立てている.あわせて,学生は図書館および総合情報処理センタの計算機設備も利用可能であり, それらも大いに活用している.平成12年度より,それまでの旧電気情報工学科時代に導入した教育用計算機設備に替えて,世界的にも最高速の超高速基幹ネットワーク, 計100台弱の高機能ワークステーション,サーバ群,およびパーソナルコンピュータ, そしてマルチメディア教育をも見据えたビデオ・オン・デマンド・システムなどから構成される教育用計算機設備を導入する. これによって,教育環境の大幅な増強を図っている.

 本コースはまだ卒業生を送り出すには至っていないため,大学院進学や就職などに関する具体的なデータはまだない. しかし,情報分野への産業界からの強い期待,旧電気情報工学科の実績などを鑑みるに,不安材料は全くないものと確信している. 同窓会組織についても,最初の卒業生を送り出す時期に合わせて発足させるべく準備を進めている.

1999年 (平成11年) 記